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支え手:会社員 T男さん 20代後半 お相手:飲食店アルバイト K子さん 20代後半
大学時代にアルバイト先の仲間であった2人は、卒業後も一緒に出掛けるなど交流を持っていた。K子は2008年に大学を卒業し、かねてからの夢であった大手百貨店に就職したものの、2012年春に体調を崩したことをきっかけに派遣の事務で働くようになった。しかし、職場での人間関係がうまくいかなくなったことで心身に不調をきたし、T男さんに相談を持ちかけるようになった。
私がK子と知り合った当時、彼女がメンタルヘルスに関わる問題を抱えることになろうとはまったく予想できませんでした。華やかなメイクとファッションに身を包んだK子はいつも明るく、行動力に溢れていたからです。 一方で、K子はすぐ思ったことを率直に口にするため、他人の誤解を招きやすく、自分勝手と思われやすいタイプでした。しかし、私は幾度となく一緒に遊んでいるうち、K子に決して悪意はなく、対人コミュニケーションが不器用なだけであることに気づきました。そして、同性ばかりで形成された集団に特有の同調圧力に大きなストレスを抱いていることも。 K子は、一度は手にした希望の職から離れざるを得なかった憤りを事あるごとに派遣の職場仲間にぶつけていました。しかし、それが元となってトラブルが続き、地元の同級生に至るまで友人を次々と失い、いつしか自傷行為を繰り返すまでに状況は悪化していました。しかしながら、他者に自らの弱さを開示することの恐怖心からか、あかの他人に支援されることは受け入れられなかったようです。自ら支援機関に相談することは考えられず、精神的にギリギリの状況に追い詰められてから私に少しずつ苦しい胸の内を語るようになってきました。 そしてやがて、K子は私の仕事中や夜中でも構わず電話をかけてくるようになり、ときにはもう死にたいとさえ口にするようになりました。当時、私は重要な案件を抱えていたため必ずしもすぐ電話に出られるとは限りませんでした。しかし、このままではK子の身が心配で仕事に集中することもできない…。そんなとき出会ったのが、当事者の身近で支え手となる人をサポートしてくれるLight Ring.の存在でした。
私はLight Ring.のサービスで、聴くトモへの対面相談を利用しました。 そこで自分の支え手としての境遇を話し、聴くトモと対話するうちに、今後も支えていくのに必要となるいくつかの要素を改めて再認識することができました。 ・表面的な見た目や言葉遣いだけで相手の性格や価値観を判断せず、傾聴を通じて相手の真の姿を捉えること ・常識や一般論ばかりに流されず、相手とのコミュニケーションを通じて問題の本質を捉えること ・どんなときも支え手として常に相手の味方であり続ける姿勢を示すこと ・十分に相手の話を聴く前から問題解決に向けた具体的なアドバイスをするよりは、まず相手の苦しい心情に寄り添おうとすることに努めること ・自らの為し得る限界を認識した上で支え手としての本気と覚悟を相手に伝え、一緒に力を合わせて問題解決を図っていく姿を目指すこと ・全力で取り組むべきことと、力を抜いても構わないことのメリハリをつけること
K子に対して、 他人には話せない愚痴であっても、辛いときは遠慮なくなんでも話してほしいこと、 できることに限界はあるが、問題が解決するまで諦めず、ずっと味方として力になり続けること、 といったことを、言葉でも態度でも伝えるようにしました。
また、電話で相談を受ける際は、以前より傾聴を重視し、相手の気持ちに共感を示し、一緒に問題を考えていく姿勢を心がけました。 その結果、精神的な限界から自傷行為に達する前に連絡をくれるようになり、仕事中や夜中に電話が来ることも減り、いま抱えている問題をひとつづつ、一緒にどう解決していくべきかを自発的に、前向きに考えてくれるようになりました。 まだまだすべての問題が解決したわけではなく、支え手としての苦労は今後も絶えないかとは思っていますが、聴くトモと共にやりがいを持って「支える」を実践していければ、と思っています。
僕は聴くトモカフェとLight Ring Timeを利用して、 ・見た目や言葉遣いだけで相手の性格や価値観を判断せず、相手の苦しい心情に寄り添おうとする“傾聴”から相手の真の姿を捉えること ・全力で取り組むべきことと、力を抜いても構わないことのメリハリをつけること この2つが重要だと再認識をし、一緒に問題を考えていく姿勢を心がけました。 その結果、仕事中や夜中に電話が来ることも減り、いま抱えている問題を自発的に、前向きに考えてくれるようになりました。まだまだすべての問題が解決したわけではありませんが、今後も聴くトモと共にやりがいを持って「支える」を実践していければ、と思っています。