Light Ring.マガジン
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相手との適切な距離の保ち方
身近な人の悩みに寄り添いたいと思っていても、相談に乗っているうちに、体調不良や精神的なつらさを感じるようになることも少なくありません。支えの中で「疲れた」と感じた時はどうすればいいのでしょうか?
ここでは、身近な人の悩みに寄り添う「支え手」自身がバーンアウトしないために知っておきたい、相手との適切な距離の保ち方についてご紹介します。
「感情移入」と「共感」を区別する
「相談疲れ」を溜めないためには、相手の相談に乗る際に「感情移入」と「共感」を区別して捉えることが大切です。
感情移入とは、相手の考えや感情に自分自身の意見や感情が同化すること。相手の悲しさやつらさを自分のことのように感じて、自分には関係のない事柄でも相手と同じように受け止めてしまうことで、体調やメンタルに影響が出る可能性があります。
一方、共感とは、相手の意見や感情を客観的に眺め、独立した立場で肯定すること。感情移入とは異なり、相手と適切な距離を保てているため、影響されにくいという特性があります。
感情移入することが必ずしも悪い訳ではありません。しかし、支援を長く続けるためには、相手と適切な距離を保つことも必要です。疲れを感じた時は「自分は今、相手に感情移入しすぎているのでは?」と、状況を客観的に見つめてみましょう。
相手に寄り添う際の「5つの原則」
人にはそれぞれ、自分が心地いいと思えるパーソナル・スペース(相手が自分に近づくことを許せる心理的な距離感)が存在します。お互いに安心し、継続的に関わっていくためにも、この距離感を捉えることが大切です。
相手の自立や前進の支えになる付き合いができるように、相手と自分とのちょうど良い距離感を知っておきましょう。以下にご紹介する、寄り添う際の「5つの原則」も参考にしてみてください。
寄り添う際の「5つの原則」
- 相手を受け入れる姿勢を大切にしよう
相手がどんな状態であっても、受け入れることを心に決めましょう。相手の言葉をさえぎらず、なかなか言葉が出てこなくても、ゆっくり待つ姿勢を大切に。言葉だけでなく、態度や表情、目線からも相手に関心があることを伝えましょう。 - 主役は相手だと理解しよう
人は、知らず知らずのうちに、自分のものさしで相手を評価判断してしまうことがあります。相手を評価したり、興味本位に質問をしたり、聞き手側の自己満足や達成感のために行動したりしないように気をつけましょう。 - 少しだけ手伝ってあげよう
言葉の背景にある思いや意図をくみ取る努力をしましょう。相手が深堀りしてほしいと思っているキーワードを見つけ、的確に質問することで、事実や問題を整理し、混乱から抜け出す助けになることがあります。 - 自分のことも大切にしよう
「良い寄り添い」とは、常に相手を優先することではありません。自分が何を大切にしていて、何に傷つくのかを知り、自分自身もまた大切な存在だと考えましょう。
もしも、相談疲れによって自分自身が崩れてしまうと判断したら、家族や友人など信頼できる人に頼ってください。相手から一時的に離れることが、共依存を防いだり、支え手側の不調を回避したりすることにつながります。 - 支え手として成長しよう
適切な支え方を学び、行動を重ねることが、あなた自身の成長につながることを知りましょう。そのような支え手の成長が、悩みを抱える人の安心や前進の手助けになります。
相手とちょうどいい距離を保つための具体的な方法
同世代の「支え手」の存在は、子ども・若者の悩みを受け止めるために重要ですが、支え手自身が心身の健康を損なうまで対応する必要はありません。相手と関わることを難しく感じ始めたら、一時的に距離を取ったり、支える手段を変えたりすることも、健全な支えを実現する上では必要です。では、具体的にどのような行動を取ればいいのでしょうか。


相手から一時的に距離を取ることは「思いやりのなさ」や「逃げ」ではありません。大切な相手と長くつながり、支えていくために、自分を大切にする方法を知り、ちょうどよい距離感を私たちと一緒に探していきませんか?