参加者の声
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支え手同士が支え、共感する場所へ(カイさん)
大切な人を支えたい気持ちと、自分の限界
以前の職場の先輩と、音楽好きという共通の趣味があったことから仲良くなり、お互いに身の上話を共有する関係になりました。彼はある時から自分の顔に対するコンプレックスが増し、いつもマスクで顔を隠して過ごすように。そのせいで、精神的な落ち込みがひどくなっていったのです。
また、彼は高齢で病気がちのお父さんを介護していて、そのことも落ち込みを加速させる要因になっているようです。「自分のサポートは父親の役に立っていないのではないか」と常に気にしていて、もしいま彼の父親が亡くなってしまうと、自信を失い、こころの状態が悪化する危険があります。一方で、もしお父さんの介護がうまくいけば、その経験が自信を取り戻すきっかけになる可能性も。そうなることを願って、私はいま、注意して見守っているところです。
彼とは、定期的にメールをしたり近くで会ったりしますが、ネガティブな話や重たい話を聞くことも多く、それを周りに言えないことで、私自身も感情を抱えこんでしまいがちに……。一時は、精神的に落ち込んでいる相手に影響されて、食欲や気力が落ちてしまったこともありました。
それでも、私にとって彼は、子どもの頃のつらい境遇や身の上話を聞いて、受け止めてくれた数少ない一人。関係がどうあれ、絶交することはないし、代えがきかない大切な人だと思っています。
同じような悩みを抱える「支え手」の仲間との出会い
友人として彼を支える中で、メンタルへルスや精神疾患に関する情報を時々チェックするようになりました。そんな時に、ハートネットTVでLight Ring.のことを知り、「同じ支え手としての立場の人たちの話を聴いてみたい」「自分流でやっていた支えに対する具体的な対応策を知れたら」と思って、講座に参加することを決めたのです。
他の友人など周囲からは、彼に対する支えについて否定的に見られていたので、講座で自分と同じような境遇・悩みを持つ人の存在を確認できたこと、そういった人たちと意見交換できたことに安心しました。
また、講座に参加するまでは、彼に対して正しい支え方ができているかどこか不安も感じていました。自分の心の内を話すことで、ねぎらってもらったり、共感してもらったりすることが、素直にうれしかったです。

支え方を知ったことで、相手とうまく向き合えるようになった
講座をきっかけに変わったのは、何か行動を起こす前に、一瞬立ち止まれるようになったこと。彼から重い内容のメールが届いても、返信を焦らず、感情の切り替えを少し意識しながら対応できるようになった気がします。これまでは、相手の感情をやみくもに受け止めることしかできませんでしたが、自分の行動を客観的に見られるようになり、心強さを感じています。
また、Light Ring.に出会って、自分自身の考え方も少し変化しました。相手と向き合った時、「どうしよう、どうしよう」とオロオロするのではなく、自分の状態を見極めてから動けるようになったことは、自分にとっても相手にとっても良いことではないかと思っています。
自ら問題解決できるという自信を届けたい(桃子さん)
親しい人にネガティブを撒き散らしてしまう友人
親しくしている友人に対して、以前から気になっていることがありました。普段の人付き合いは問題ないものの、親しくなると攻撃的な発言が目立ったり、自己否定的な発言が増えたりするのです。2人で会った時にアドバイスを求められることもありましたが、思ったことをそのまま伝えてしまうと、感情的になり怒り出すことも……。そのため、対話をするのではなく、話をただ聞くことが多くなっていきました。
私は、彼女を支えている実感はなく、人より少しだけ気にかけている立場と認識しています。その上で思うのは、「自分の軸を持っていないと引っ張られる」ということ。私自身、物事の判断において一定の軸は持っているつもりですが、自分そのものの軸がないことにコンプレックスを感じていて、彼女は時にそこを突いてきます。その度に、自分は空っぽな人間なのではないかと落ち込んでしまい、自己肯定感が低下してしまうこともあります。
また、彼女は、自身の嫌なところから目を背けるために攻撃してくることもあります。でも、「それはあなたの問題なんじゃないの?」と指摘すると怒ってしまう。なるべく指摘をしないように抑えていますが、私自身もストレスが溜まって、負の連鎖に陥ってしまいます。何より悩ましいのは、彼女が自ら問題解決をすることに意欲がないこと。逃げることで対処しているため、解決に進んでいないことに気付いていないのではないかと思います。
相手が抱える「本当の問題」にアプローチするために
他の友人の多くは、「彼女の性格はもう変わらない」と諦めています。でも、私は、できることがあるならアプローチしていきたい。なぜなら、変わらない人はいないと思うからです。彼女が抱えている「本当の問題」を整理して、気付かせることで、本質的に問題を解決できる情報源へ導きたいと考えています。
人は誰しも、それぞれ輝ける才能を持っていると思います。その才能を見つけ、社会の中で発揮して、誰かが喜ぶ顔を見たら、自分にも良いところがあると実感できるのではないでしょうか。そうすることで、視野が広がり、他者の良いところにも目を向けられるようになるはずです。
彼女はいま、自分をとりまく全てを悲観的にしか捉えられていません。その視点をプラスに向けられるようになれば、もう少し生きやすくなると思っています。外から助けてもらうのではなく、彼女自身で解決していく力を届けたいです。
支え手自身も成長しながら、一緒に前に進む
私自身は、幼少期の発達心理や基本的な信頼感の構築サポートに興味が有り、以前は他のNPOで活動していました。しかし、幼少期をサポートするよりも、幼少期の問題が原因で大人になってから問題が生じている人をサポートする方が大事なのではと考え、成人後の人間関係の問題に関わりたいという気持ちが強くなっていきました。
そのような中で、中学時代の先輩から「ももちゃんの考えていることに近いんじゃない?」と紹介してもらい、Light Ring.の活動を知りました。
Light Ring.の講座に参加したことで得たものは、大きく2つあります。1つは、傾聴のクセを俯瞰できるようになったこと。自分は相手の話を真剣に聞きすぎるところがあり、そのせいで相手に怖い印象を与えてしまうことがあるようです。
もう1つは、傾聴にも多様なスタイルがあると知ったこと。相手に質問をたくさん投げて、自分と向き合っていく姿勢を促す傾聴。質問も繰り返しもあまりせず、相手が考えていることや感じていることを自由に話せる空気をつくり、自分がいま何を感じているのか、何を考えているのか、思考や感情を客観的に捉えるための壁打ちになる傾聴。相手の話を「うん、うん」と単純に聞くだけが傾聴ではないというのは、新たな発見でした。
講座に参加したことで、「セルフケア」について知ったことも大きな収穫でした。支え手もリフレッシュが必要という観点は、これまでの自分にはなかったもの。相手の話を聞いて疲れて眠るのではなく、自分のことも労りながら、一歩ずつ進んでいけたらいいと思っています。

うつ症状の彼女と結婚を決意。期限の無い支えを届けたい(E・Hさん)
相手が落ち込んでいる時にどう接していいかわからない
私が支えているのは、結婚を控えて同棲している彼女です。彼女には、うつ病に近い症状があり、それを知った上で付き合い始めました。
病院に通うのは月1回、毎日決まった時間に薬を飲んでいます。一緒に暮らし始めてからは、私も病院に付き添うようになりました。普段は、彼女の話を聞いたり、安心できるようそばにいたり、スキンシップをしたりすることを心がけています。そうすることで、期限なくずっと一緒にいる存在だと伝えたいと思っています。
彼女には調子の波があり、落ち込んでいる時はため息が多くなって、口を閉ざしがちです。また、落ち込みが強い時は、私が眠っている間にリストカットをしてしまうこともあります。過去には、自殺未遂をしたこともあるそうです。
支え手である自分がしっかりしなければと思いながらも、彼女が落ち込んでいる時は、どのように接していいかわからなくなることがあります。
支え手として大切なのは、焦らずゆったり寄り添うこと
彼女が生きやすくなるためにまず必要なのは、自信を持つことだと思っています。小さなことでも何かに貢献している実感を得られれば、自分は生きていても良い存在だと思えるようになるのではないでしょうか。
いまは、実家の家族などに迷惑をかけたくないという気持ちが働き、私に頼る割合が大きくなっています。他の人に悩みを相談することはなかなか難しそうですが、もっと周りの人に頼れるようになると、一人で悩みを抱え込んでしまうことが減り、落ち込みも少なくなっていくのではないかと思います。
また、彼女の状態が悪くなった時に、私が焦らないことも大切だと考えています。大きな波に呑み込まれないように、時間をかけてゆったり寄り添うことが、私にできる一番の支えだと思っています。
講座を通して認識した「セルフケア」の重要性
彼女を支えるために必要なことは何か、色々と調べていく中で、Light Ring.の活動を知りました。同じ立場の人と情報交換をすることで、私の精神安定にもつながればいいと思い、いくつかの講座に参加してみることにしたのです。
「ソーシャルサポート力養成講座」では傾聴法を学び、状況に応じて切り口を変えることで、話を引き出しやすくなることを学びました。また、セルフケアの重要性を考えるきっかけにもなりました。それまで、彼女を支えることに意識が向きすぎていましたが、私自身の心身が崩れてしまっては元も子もありません。相手を支えることと、セルフケアとのバランスが大事であると、改めて認識しました。
「Light Ring Time」では、自分と同じように悩んでいる「支え手」の仲間に出会えました。中でも、疾患を抱える相手を支えている方と情報交換できたことは、得難い経験になったと思っています。
講座から6年後のストーリー
Light Ring.の講座に参加した後から、「支え手の自分」と「普段の自分」を区切り、気持ちの切り替えを意識的に行うようになりました。それによって、心身の安定を保てるようになり、彼女との結婚に踏み出すことができました。
結婚を機に、彼女も私のことを「継続的に一緒にいてくれる人」と認識してくれ、状態が徐々に安定。子どもが生まれたことで、彼女自身にも「自分がしっかりしなきゃ」と責任感が芽生え、以前より自信が持てるようになったようです。現在、結婚6年目。これからも、家族として共に支え合っていきます。
